一般、血液生理学まとめ

血液の働きについて(L4)

血液の働きにはの物質(\(O_2\)や\(CO_2\)、栄養素、老廃物など)の運搬、内部環境(体温、pH、浸透圧など)の調節、生体防御(感染防御機構や免疫応答)、止血、ホルモンなどによる情報の流通がある。

血漿と血清の違い(L5)

血液から血球などを除外した液体成分が血漿である。
血清は更にフィブリノーゲンが析出され除外されたものである。

血漿タンパクの電気泳動(L5)

タンパク質はに帯電していて分子量の小さいものほど速く陽極側に移動するため、物質の種類と量を確認することができる。

血液型と血球表面の抗原、血清中の抗体(L5)

血液型は何抗原を持っているかで分類される。A型の人はA抗原をもち(↔︎抗B抗体をもつ)、O型の人は抗原をもたない(↔︎抗A抗体、抗B抗体をもつ)。

O型の赤血球はA抗原とB抗原をもたないためA型の血清(B型抗体を含む)とB型の血清(A型抗体を含む)のどちらとも抗原抗体反応をおこさないため凝集しない。

赤血球の産生とその調節(L6)

赤血球の産生

胎児期には肝臓、脾臓などでも造血が行われるが新生児以降は骨髄のみで産生される。骨髄の中で造血が行われるのは赤色骨髄である。骨髄には造血幹細胞がありこれが分化し前期赤芽球細胞、後期赤芽球細胞を経て前赤芽球に分化する。前赤芽球は3~4回分裂してHbの少ない塩基好性赤芽球、Hb合成の活発な多染色性赤芽球を経て正染色性赤芽球に分化する。赤芽球のHb量が飽和に達すると核が濃縮されて細胞が排出されて網状赤血球となる。血管に入って1~2日で網状物質が消失して成熟赤血球になる。(P261)

赤血球産生の調節

赤血球が少ないと\(O_2\)運搬が不十分になり、多すぎると血液の粘性が増し血流には障害となるため適切な量に調節される必要がある。エリスロポエチン(EPO)ほとんどが腎臓で産出され赤血球までの分化過程の細胞(BFU-E,CFU-E,赤芽球など)に作用して増殖と分化を促進する。

また、ビタミン\(B_{12}\)は細胞分裂に必要なDNA合成に不可欠であり、ビタミン\(B_{12}\)が不足すると増殖が障害され、巨赤芽球貧血を起こす。

溶血について(L7)

赤血球の破壊を溶血という。溶血は主に脾臓赤色脾髄でマクロファージに貪食されることによって行われる。マクロファージでビリベルジン,Co,Feなどに分解され、ビリベルジンはビリルビンになる。Feやビリルビンは肝臓に運ばれてリサイクルされる。赤血球の異常や脾臓の異常など様々な理由で溶血は促進されるが、溶血の増加は黄疸をもたらす。

黄疸について(L7)

黄疸とは血中のビリルビン上昇で体中が黄色くなることである。眼球結膜を診ることによって判断される。正常値は1.0mg/dL以下であり、1~2mg/dLあたりの正常値より高いが黄色く見えない状態を不顕性黄疸2.0mg/dlを越えて黄色く見える状態を顕性黄疸という。
黄疸の種類には赤血球に問題があったり赤血球の破壊が亢進しているときに生じる溶血性黄疸や肝細胞や抱合に問題がある場合に生じる肝細胞性黄疸、胆道閉鎖による閉塞性黄疸がある。

白血球の産生と各々の働き(L8)

骨髄で造血幹細胞から骨髄芽球、リンパ芽球に分化し、さらに骨芽球は前骨髄球に分化したのち好酸球好中球好塩基球に分化するこれらは顆粒球と呼ばれる。また骨芽球の一部は単芽球に分化し、成熟して単球となる。リンパ芽球は脾臓、胸腺、口蓋扁桃、骨髄に散在するリンパ組織でT細胞やB細胞に分化する。

好中球、マクロファージの働き

化学走性

特定の化学物質に対し化学走性を示し、近寄ったり逃げたりする。化学走性を誘発する物質としては細菌の毒素、組織の破壊産物、炎症部位の凝固生成物、補体のC5a,ロイコトリエンがある。
これによって好中球やマクロファージは細菌などの外敵に向かって移動していく。(濃度勾配に従ってより濃度の濃い方に移動することによる)

食作用

細菌などの大きな粒子を取り込むのが食作用である。微粒子を取り込むのは飲作用という。どちらにしてもエンドサイトーシスである。取り込まれた異物は食胞という。
異物に近づいた好中球はまず偽足を出して異物を抱え込む。抗体や補体のC3bが異物につくと食作用は亢進するが、これをオプソニン作用という。顆粒球には免疫グロブリン抗体のFC部と結合するFC受容体C3b受容体があるこれらの受容体はオプソニンの抗体や補体と複合体を形成して異物を補足する。

好中球は5~20個の細菌を貪食する。マクロファージは100個の細菌を貪食し、壊死組織や死んだ好中球も処理できる。

殺菌

\(Ca^{2+}\)が増えると白血球が活性化し、白血球の有酸素的代謝(NADPHによって活性酸素種ROSを生成する)が促進される(呼吸バースト)
活性酸素は細胞障害作用を持ち、白血球など代謝の活発な多くの細胞で多量に生成される。(心筋、平滑筋、ニューロンなどを含む)
好中球・マクロファージでは誘導型NO合成酵素も生成され、これによって\(Ca^{2+}\)非依存でNO産生される。NOは細胞障害性に働き殺菌作用を示す。

炎症

細菌感染、外傷、やけどなどの組織障害が起こると活性物質が放出され、生体の二次的な反応として炎症が起こる。炎症時に見られる白血球増多は好中球増多による。
・炎症部で起こる反応
まず顆粒球放出因子が生成されてそれによって骨髄の貯蔵部から白血球が放出される。
次にコロニー刺激因子CSFが放出され、骨髄に運ばれて顆粒球や単球の産生が促進される。細菌を貪食した好中球やマクロファージの多くは死んで、壊死組織とともに膿として排出または吸収される。
 

サイトカイン

サイトカインは免疫系、造血系などで細胞間の情報伝達を担う一群の液性因子のことであり、感作リンパ球、マクロファージなどによって放出される。

・インターロイキン(リンパ球などの免疫担当細胞から放出される。30種程度ある。)
・インターフェロン(ウイルス感染時に産生される)
・腫瘍壊死因子TNF
・トランスフォーミング増殖因子β
・血小板由来成長因子PDGF
・コロニー刺激因子CSF など
炎症や免疫では細胞が相互にサイトカインを放出しネットワーク状の調節が行われる。

T細胞の働き(L8)

ヘルパーT細胞は免疫系の活性化を制御し、サプレッサーT細胞はヘルパーT細胞を抑制する。キラーT細胞(CTC)は抗原をもつ細胞を攻撃する。

B細胞の働き(L8)

抗体を産生する。

血小板の産生と血栓形成機構(L9)

血小板は骨髄幹細胞から分化した巨細胞の細胞片である。血小板の産生はコロニー刺激因子トロンボポエチンによって行われる。

コラーゲンVWFを介して血小板が粘着し、活性化された血小板はADPトロンボキサンA2を放出し、活性化が増幅される。血小板どうしはフィブリノゲンを介して粘着する。これによって凝集がおこり血栓ができる。

血液凝固(L9)

外因性経路はカルシウムを必要とする。いずれの経路もトロンビンを産生し、これによってフィブリノーゲンはフィブリンになる。フィブリンは凝固しやすくこれが血餅となる。

血液線溶系(L9)

tPA,uPAがプラスミノゲンをプラスミンに変換する。プラスミンはフィブリンを破片に分解する。

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